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「生きてよかった」を追求中。本・認知行動療法・プログラミング(学習)について発信します。

認知行動療法で「生き方」を変える! 学び【9】恋愛の極意:「プラスの感情・気分」を増やし、冷静に「相性」を見極める

 

本記事は、筆者が認知行動療法のカウンセリング(120時間以上)で得てきた「学び」を、整理・凝縮してまとめたものです。

 

「自分を変えたい」と漠然と(または真剣に)思ったことのある方へ!

生きづらさを解消し、豊かに生きるための一助となれれば幸いです。

 

【注意】

以下は個人的なカウンセリング記録のノートを元にまとめたものです。筆者は「認知行動療法」を専門的に学んだわけではなく、正確な解釈をし損ねている恐れもあります。あくまで「個人的な知見」「ご参考まで」ということでお願い致します。 


目次

 


【本記事のポイント】

  • 愛情(または執着)の強さは、「時間」「お金」「感情」の3つを「どれだけ使ったか」で決まる(愛情のメカニズム)。このことは、「母子の絆」を含め「すべての関係」で共通
  • 恋愛の極意は、「プラスの感情・気分」を増やすこと(つまり「幸せの極意」と同じ)。それにより、自分と「相性がいい人」にとっての「自分の魅力」を高められる
  • 長続きする相手を選びたいなら、好きになる「前」に、「違和感」の「大小」と「頻度」、つまり「相性」を見極めること。いったん「好き」になってしまうと「冷静」ではいられなくなり、「違和感=ケンカや不仲のリスク」を見逃しがちなため
  • 「愛されない」という思考で「マイナスの感情・気分」をやたらとつくらない。その思考が、たとえば「愛されない=価値がない」といった「認知の歪み:『現実思考』でない考え」を含む場合、「マイナスの感情・気分」をつくることは妥当ではない。つど「現実思考」で置き換えること

 

 

1. はじめに

 

今回のテーマは「恋愛の極意」。

 

カウンセリングを重ねて「生きること自体が辛い」というマイナス状態から脱し、「恋愛」への意欲が芽生えるも二の足を踏む。

そんな時期に教えられた内容を中心にまとめています。

 

要点は以下です。

  • 自分の魅力を高めるために「プラスの感情・気分」を増やす
  • 長続きする相手を選びたいなら、好きになる「前」に、「違和感」の「大小」と「頻度」、つまり「相性」を見極める

 

上記2点の「極意」は万能ではありませんが、実践的かつ納得感のある指針の一つだと思います。

順を追って、詳しく説明していきます。

 

*これまでの記事はこちら!

【1】大原則は「現実思考」。それを磨き続けよう

【2】カギを握るのは「自分の解釈」。感情・気分が生まれるメカニズム

【3】「解釈を変える」2つのハードル。対抗策:①自問する ②クセづける

【4】幸せの極意:「現実思考」をベースに「自分の本心」に従う(自分本位で生きる)

【5】否定的な意見は防げない。「人の目」は「相手」と「場面」に応じて気にする

【6】「自信」をつける方法:最も妥当でブレにくい「公正な自己評価」を積み重ねる

【7】「大失敗」を防ぐために「小さい失敗」と改善をする

【8】先のばし対策のための「とりあえず」精神:①考え過ぎず②無理のない範囲で動く

 

 

2. 愛情の強さは「時間」「お金」「感情」の投下量で決まる

 

「恋愛の極意」の前提として教えられたのは、「愛情」についての下記のようなメカニズムです。

  • 愛情(または執着)の強さは、「時間」「お金」「感情」の3つを「どれだけ使ったか」で決まる

 

言い換えると、ある対象のために、時間・お金・感情の3つを「使えば使うほど」、その対象に抱く愛情(または執着)は「強くなっていく」ということ。

先生曰く、このメカニズムは、「母子の絆」を含めた「すべての関係」で共通するそうです。

 

「愛情のメカニズム」が成り立つ理由としては、以下のような「心理現象」があげられます。

  1. 誤帰属:原因の取り違え
  2. サンクコスト効果:「もったいない」精神

 

それぞれ簡単に説明します。

 

①誤帰属

「誤帰属」とは、物事の「原因」を取り違えてしまうことを指します。

ある結果を「誤」った原因に「帰属」させてしまう(結びつけてしまう)、ということです。

たとえば、「馬鹿な子ほど可愛い」ということわざは、文字通り「手のかかる」相手に対し、より「時間」や「お金」をかけて世話をする、あるいは将来を心配したり、成長を喜んだりと「感情」を揺さぶられやすいがために起こる現象、とも理解することができます。「これほど3つを使っているのは、愛情ゆえに違いない」というわけです。

 

②サンクコスト効果

「サンクコスト(埋没費用)」とは、経済学の用語で、すでに投下してしまったものの、取り戻すことができない「お金」や「時間」などのコストを指します。

この(回収できない)サンクコストが「もったいない」。そのような気持ちが判断を鈍らせ、「損切り」できずに損失を拡大させてしまう現象を「サンクコスト効果」といいます。

私の場合、よくあるのは「高かったので捨てられない」です。モノであれサービスであれ、支払った「お金」や、これまでに費やしてきた「時間」などを考えて「取っておこう」「続けよう」となりやすい。

すでに使ってしまった「時間」「お金」「感情」のために愛情(または執着)が生じ、「捨てよう」「やめよう」と思い切り難い状況になりがち、ということです。

 

  • 愛情の強さは「時間」「お金」「感情」の投下量で決まる

このメカニズムの要因としてあげた上記2点の「心理現象」は、必ずしも「常に」起こる現象ではありません。

また、「時間」「お金」「感情」の3つを使う、そもそもの「きっかけ」が何かをはっきりさせることも困難です。たとえば「小さな愛」があったから3つを使い始め、3つを使ううちに愛情が強くなる(つまり一時的に順序が逆になっている)ということも考えられます。

 

それでも、「3つを使えば使うほど、愛情(または執着)が強くなる」というメカニズムには一定の納得感があるため、参考にできる一つの「傾向」ではあると思います。

以下では、この「愛情のメカニズム」を前提とした「恋愛の極意」2点について、詳しく説明していきます。

 

 

3. 恋愛の極意:「プラスの感情・気分」を増やす

 

  • 愛情(または執着)の強さは、「時間」「お金」「感情」の3つを「どれだけ使ったか」で決まる

 

上記の「愛情のメカニズム」から導き出される「恋愛の極意」は以下です。

  • 時間・お金・感情の3つを使われやすくなる、つまり自分の魅力を高めるために「プラスの感情・気分」を増やす

 

このごくシンプルな内容は、実は以前の記事でご紹介した「幸せの極意」と同じです。

「幸せ」や「幸福感」を大ざっぱに「プラスの感情・気分」とすると、それをつくり続けるために必須の「両輪」は、以下の2つです。

  • 現実思考をベースに「マイナスの感情・気分」を減らす
  • 現実思考をベースに「プラスの感情・気分」を増やす

学び【4】幸せの極意:『現実思考』をベースに『自分の本心』に従う(自分本位で生きる)」より

*「恋愛の極意」では、冗長になることを防ぐため、「『マイナスの感情・気分』を減らす」という部分は割愛しました。「マイナスを減らす」は「プラスを増やす」と兼ね合わせる形にしています。

 

「プラスの感情・気分」を増やすことで「自分の魅力」を高めるカギは、「類似性の法則」にあります。

「類似性の法則」とは、自分と「共通点」がある人に「親近感」や「好意」を抱きやすくなる、という心理学の用語です。

 

前提として、「プラスの感情・気分」を多くつくっている状態とは、「自然体」や「素の自分」に近いこと、言い換えれば「自分の特徴が前面に出ている」ことと同義です。

「プラスの感情・気分」を増やすことで「魅力」が高められるのは、自分の特徴がより前面に出ることで、「類似性の法則」によって同じような特徴を持つ人から好意を持たれやすくなる、つまり「時間」「お金」「感情」の3つを使われやすくなるためです。

 

「プラスの感情・気分」をつくる具体的な方法としては、以下のようなものがあげられます。

  • 「現実思考」をベースに「自分の本心」に従う(自分本位に生きる)。たとえば現実的に大きな支障がなければ「食べたい」と思ったものを食べる。そして「プラスの感情・気分」をつくる
  • 「現実思考」をベースに「プラスの解釈」をする。たとえば「仕事で失敗をした」とき、「失敗をまったくしない」ことは不可能なため、「以前の自分よりは成長している」「これを機に行った改善のおかげで『大きな失敗』を防げた」と考える。そして「プラスの感情・気分」をつくる

 

*関連記事はこちら!

学び【1】大原則は「現実思考」。それを磨き続けよう

学び【2】カギを握るのは「自分の解釈」。感情・気分が生まれるメカニズム

学び【7】「大失敗」を防ぐために「小さい失敗」と改善をする

 

ここで重要なことは、最終的に「プラスの感情・気分」をつくること。

単に「自分の本心」に従ったり「プラスの解釈」をしたりしても、「食べてしまった」と自責したり、実際には「納得」していない「プラスの解釈」を無理に言い聞かせたりしているようでは、「マイナスの感情・気分」がつくられるために「台無し」だからです。

 

小さくてもいいので「できること」をして、「マイナスの感情・気分」を減らし、「プラスの感情・気分」を増やす。言い換えると「自分を大切にする」。

それが自分の「幸福度」のみならず、「魅力」を高めることにもつながります。

「幸せの極意」は、そのまま「恋愛の極意」でもある、ということです。

 

 

注意①「万人から愛される方法」ではない

 

  • 自分の魅力を高めるために「プラスの感情・気分」を増やす

 

この「恋愛の極意」は、「万人から愛される方法」ではありません。

その理由は以下です。

  • 人の意見や評価は「好き・嫌い・ふつう」や「良い・悪い・どちらでもない」の3つにバラつく(大別される)という「3分の1の法則」により、そもそも「すべての人から愛される」ことは不可能だから
  • 時間・お金・感情の3つを「どれだけ使うか」は「相手」が決めることなので、自分に魅力を感じていない(相性が悪い)人に「3つを使わせる(愛される)」ためには、かなりの「知識」と「経験」が必要だから

 

つまり、上記の「恋愛の極意」は、あくまでも自分と「相性がいい人」にとっての「魅力」を高める方法、言い換えれば「相性の良し悪しを『ふるい』にかける方法」でもあるということ。

 

「プラスの感情・気分」を増やして「自分の魅力」を高めることは、そのような状態の自分と「相性が悪い」人から見ての魅力を「減らす」ことでもあります。自分を大切にして生き生きと過ごしていたとしても、そんな自分と「相性が悪い」人から「嫌われる」ことは避けられません。

 

「相性の悪い」相手から愛されようとする、つまり「不可能を可能に」するためには、かなりの「知識」と「経験」が必要です。それでも「時間・お金・感情の3つを使わせよう(愛されよう)」として「無理」をすれば、必然的に「マイナスの感情・気分」がつくられます。

またそうすることで、今度は自分と「相性がいい」はずの人にとっての「自分の魅力」を減らすことになります。このため、たとえ「相性が悪い」人からの評価を一時的に上げられたとしても、「マイナスの感情・気分」がつくられること、そして「3分の1の法則」により結局のところ「万人からは愛されない」ことを加味すれば、総合的には「大損」です。

 

一方で、「恋愛の極意」に基づき「プラスの感情・気分」をつくることにも「試行錯誤」や「工夫」は欠かせませんが、「万人」または「相性が悪い」人から好かれようとして「無理」を重ねるよりは建設的です。

 

「(すべての人からは)愛されない」と考えると残念な気もしますが、それが「事実」です。どちらにせよ、自分の時間・お金・感情の3つは「有限」なので、「深い関係」を築ける人の数にはおのずと限度があります。

「プラスの感情・気分」を増やし、そんな状態の自分を「魅力的だ」と思ってくれる「相性がいい人」に3つを注ぎ、関係を深める。

「相性がいい人」つまり「好み」や「価値観」が合う人は、必然的に自分にとっての「魅力的な人」でもあります。究極的には、そのほうが「楽」で「楽しい」です。

 

 

注意②「自分磨きは一切不要」というわけではない

 

  • 自分の魅力を高めるために「プラスの感情・気分」を増やす

 

このことは、「自分の魅力」を高めるための「努力は一切必要ない」といった話ではありません。

自分の魅力を高める「努力」と「プラスの感情・気分」をつくることとは、必ずしも矛盾しないからです。

 

ポイントは以下です。

  • 「マイナスの感情・気分」をつくって心身をすり減らすような「無理な努力」はしない。「無理な努力」は、それ自体が苦痛なために長続きしないうえ、がんばりが続かないことを自責し、さらなる「マイナスの感情・気分」をつくる悪循環となりかねない
  • 「プラスの感情・気分」をつくれるような「前向きな努力」をする。「前向きな努力」は、それ自体が「楽」あるいは「楽しい」ために長続きするうえ、つくられる「プラスの感情・気分」がさらなる「前向きな努力」の原動力となりやすい

 

つまり、自分を大切にして「プラスの感情・気分」を増やすことは、むしろ自分を磨く(前向きな)努力を続けるためにこそ重要、ということです。

 

「プラスの感情・気分」を前提にしていると、「笑顔や思いやりが増える」「新しいことを始めたくなる」など、「自分の魅力」を高められるような「意欲」が自然と湧いてきます。

それらを「やりたい」という「自分の本心」に従うと、「プラスの感情・気分」がつくられます。つまり「前向きな努力」の成果が出るか否かはともかく、それらを行動に移した時点で、すでに「お得」ということです。

 

「遠回り」のようにも思えますが、「無理」をして「マイナスの感情・気分」をつくり、がんばりが続かなくなったり、メンタルを壊したりしては本末転倒です。

 

「無理な努力」の目安は、以下です。

大切なのは、「そのときの自分」にとって「無理のない」行動を想定すること。

「無理のない」の基準は、「自分の不安が40%以下」であることです。

 

学び【8】先のばし対策のための『とりあえず』精神:①考え過ぎず②無理のない範囲で動く」より

 

まずは「プラスの感情・気分」ありきで、「やってみよう」と自然に思えた「前向きな努力」をする。少なくとも、「不安」をはじめとする「マイナスの感情・気分」が「40%以下」の行動に絞る。

それが、ひいては「自分の魅力」を高めることにつながります。

 

 

4. 「長続きする相手」選びの理想的なプロセス

 

  • 自分の魅力を高めるために「プラスの感情・気分」を増やす

 

そして、もう一つの「恋愛の極意」は以下です。

  • 長続きする相手を選びたいなら、好きになる「前」に、「違和感」の「大小」と「頻度」、つまり「相性」を見極める

 

「長続きする相手」を選ぶうえで重要なことは、「相性」を見極めることです。

その具体的な方法は、「違和感」の「大小」や「頻度」を観察すること。加えてその前提として、「7割は自分本位」で相手と接することや、好きになる「前に」相性を見極めることが大切です。

 

まとめると、「長続きする相手」選びの「理想のプロセス」は以下です。

  1. 「プラスの感情・気分」をつくりながら交流する
  2. 「違和感」の「大小」と「頻度」を観察する
  3. 「好き」になる

 

下記にて、順番に説明していきます。

 

 

①「プラスの感情・気分」をつくりながら交流する

 

「長続きする相手」を選ぶ、つまり「相性」を見極めるために大切なことの1点目は、「プラスの感情・気分」をつくりながら交流することです。

 

このことは、「自分の魅力を高めるために『プラスの感情・気分』を増やす」という先にあげた「恋愛の極意」1点目と共通しています。

 

「『プラスの感情・気分』をつくりながら」の具体的な「目安」は以下です。

まとめると、「幸せの極意」は以下です。

  • 現実思考で「やってOK」なら、自分の本心に従う(自分本位で生きる)
  • 「7割」は自分を優先:自分の本心に従う(自分本位で生きる)
  • 「3割」は他人を優先:必要に応じて、自分の本心に逆らう

学び【4】幸せの極意:『現実思考』をベースに『自分の本心』に従う(自分本位で生きる)」より

 

「7割は自分本位」で相手と接する。言い換えると、「自然体」や「素の自分」に近い状態で交流し、「プラスの感情・気分」をつくる。

 

このことが「長続きする相手」を選ぶうえでも重要な理由は、以下です。

  • 「自分の特徴」を前面に出して「相性」を見極めるため

 

「プラスの感情・気分」をつくりながら相手と接することで、そのような状態の自分を「魅力的だ」と思ってくれる人、言い換えれば「相性がいい人」とそうでない人を「ふるい」にかけることができます。

上記「3. 恋愛の極意:『プラスの感情・気分』を増やす」にて述べた「類似性の法則」により、「自然体」でいるときの自分に好意を抱いてくれる人とは、同じような特徴を持った「相性がいい人」と考えることができるためです。

 

「長続きする相手」を選びたいなら、お互いに「7割は自分本位」で接し、それでも(それでこそ)うまくいく、ともに「プラスの感情・気分」がつくられるという「相性の良さ」が不可欠です。

どちらかが「無理」をして相手に合わせていると、「マイナスの感情・気分」がつくられるために、いずれがんばりがきかなくなります。「長続きする相手」を選ぶには、まず自分が「7割は自分本位」で接し、「相性」を冷静に確認することが大切です。

 

*補足ですが、相手が「7割は自分本位」かどうか、ネガティブな言い方をすると「演技していないか」「取り繕っていないか」を確認するには、相手にとって予想外の事態が起きた際の「とっさの反応を見るといい」とのことです。その理由は当たり前ですが、考えたり切り替えたりする間がないために「地が出る」からです。

 

これは、「10割のことで『自分本位』になる」または「相手の許容量を試す」といった話ではありません。

あくまでも「現実思考」をベースに、法律や最低限のマナー・道徳を守ったうえで、「7割は自分本位」に「プラスの感情・気分」をつくりながら接する。

「無理」を重ねた末に「やっぱり相性が合わない」となってしまっては、相手にとっても「損」ということになりかねません。

 

「相性」を見極めるため、そして「交流」そのものを楽しむためにも、肩の力を抜く。

「楽」に「楽しく」が大切です。

 

 

②「違和感」の「大小」と「頻度」を観察する

 

「長続きする相手」を選ぶ、つまり「相性」を見極めるために大切なことの2点目は、「違和感」の「大小」と「頻度」を確認することです。

 

具体的には、以下です。

  • 1〜2ヶ月(目安)のあいだ相手と交流し、「違和感:なぜ?」の「大小」と「頻度」言い換えれば「会話がスムーズに進むか」を観察する

 

このことが有効な理由は、知り得た「違和感」の「大小」と「頻度」を、そのまま「ケンカや不仲のリスク」の「大小」、そして発生する「頻度」として捉えることが可能なためです。

 

自分と「相性」がいい人とは、「好み」や「価値観」が近い人、かつ、そのために、会話のなかでの「意見の相違」や「違和感」が少ない人とも言えます。

反対に、相性の悪い人には「なぜ?」という「違和感」を感じやすいです。

 

あくまでも他人同士なので、「なぜ?」を感じることがあるのは「当然」です。

そのことを前提に、覚えた「違和感」について、以下を「冷静に」分析することが大切です。

  • 大小:それはケンカや不仲の原因になり得るか?(たとえば「ラーメンの味の好み」であれば「ならない」が、「金銭感覚」なら「なり得る」)
  • 頻度:それは許容できる頻度か?(たとえば「10日に1回」であれば「許容できる」が、「1日に1回」なら「許容できない」)

 

仮に1日交流するなかで、「小さい」違和感を「1回」覚えたとします。その場合、10日間一緒に過ごすと「小さい」違和感を「10回」覚える、つまり「小さい」ケンカや不仲の種が「10回」発生しかねない、といった大まかな予測が成り立ちます。

 

これは必ずしも「確実」とは言えませんが、「相性」を見極めるために実行可能な、わかりやすい基準の一つではあると思います。

 

難しいのは、「違和感」が大きい相手と接していると、必然的に「感情」の振れ幅が大きくなってしまう(「感情」を使ってしまう)ために、「愛情のメカニズム」によって、ともすれば愛情を感じやすくなる、ということです。

 

仮に「気分の浮き沈みが激しい」ことを「恋愛の醍醐味」とするなら、「相性の悪い」相手は「いい恋人」「いい恋愛向き」とも言えます。

反対に、「違和感」が小さい、つまり「相性がいい」相手は、「感情」の振れ幅も小さいために、より落ち着いた関係に向いています。

 

「長続きする」関係を築きたいなら、「違和感」が小さく、「頻度」も少ない相手を選ぶことが重要です。

 

 

補足:つき合うなら、自分と「同程度」か「上」の人

 

以下は補足ですが、類似の「見極め方」として、下記の基準も教えられました。

  • 恋人としてつき合うなら、「自分と同程度」か「自分より上の人」

 

その理由は、当たり前ですが、そうしないと短期的にも長期的にも「損」になるからです。

 

たとえば自分の「やさしさ」が相手より極端に高かった場合、あまりにも不公平に、「マイナスの感情・気分」をつくってまで相手を優先してしまい、結局は続かない、という事態になりかねません。

一方で、相手も同じくらいの「やさしさ」を持っていた場合、自分が「無理」をしていることに気づいてくれたり、「お返し」をくれたりするために、「マイナスの感情・気分」をつくることは抑えられ、ひいては長続きしやすいです。

 

このことは、必ずしもネガティブな意味での「高望み」や「打算」ではありません。

 

「現実思考」をベースに「公平かどうか」を判断することは、自分にとっての「得」だけを不釣り合いに求める「高望み」とは異なります。

また、「お互いに『プラスの感情・気分』をつくれる関係」つまり「長続きする関係」を築くうえでは、「公平かどうか」という「打算」や「損得勘定」は多少なりとも必要です。自分の時間・お金・感情は「有限」なので、それらを注ぐことで「プラスの感情・気分」をより増やせる相手を「まず」見極めることは大切だからです。

 

とはいえ、基本的には「違和感」の「大小」と「頻度」を観察するほうが「わかりやすい」と思います。「自分と同程度か」というのは曖昧な基準ですし、上記の例のように、たとえば「やさしさ」に極端な違いがある場合には、確実に大きな「違和感」を頻繁に覚えているはずだからです。

 

 

③「好き」になる

 

「相性」を見極めるために大切なもう1点は、好きになる「前に」相性を見極める、つまり好きになるのは「この人なら」と思った「後」にすることです。

 

その理由は、「好き」になると、どうしても「判断が甘くなる」ためです。

「好き」になる、そして「ひいき目に見る」ことで「冷静さ」を欠いてしまっては、交流するなかで必ず覚える「違和感」と向き合いづらくなります。大きかったり頻繁だったりする「違和感」を黙認していると、「好き」という気持ちが落ち着いたあとで「相性が合わない」事実に直面することになりかねません。

 

「愛情」に関連して、印象的だった先生の言葉があります。

深い関係になると「損得勘定」がなくなります。

そうなると、仮に「もっといい人と交換しましょう」と言われたとしても、断るようになる。その人自体に価値を見出すようになるからです。

 

このことは胸を打たれる話ですが、見方を変えれば、以下のようなリスクもある、ということです。

  • 実際には「相性が悪い」相手を、そうと見極める「前に」好きになり、判断が甘くなった状態で時間・お金・感情の3つを使った結果、「愛情のメカニズム」により愛情(または執着)が強くなってしまう

 

そのような事態を避けるためにも、最初は「好き」「嫌い」の感情をわきに置き、まずは「違和感」の「大小」や「頻度」、つまり「相性」を冷静に見極める。「なんとなく嫌い」な場合は、「どこが嫌いか?」「いいところはないか?」などの視点を持ち、自分の「違和感」を分析する。

そして「この人なら」と思った「後で」好きになる。

 

これが「長続きする相手」つまりお互いに「損得勘定」を超え、「プラスの感情・気分」をつくれるような相手選びの「理想的なプロセス」です。

 

とは言え、先生はこうも言っていました。

「冷静ではいられない」のが恋愛なので、違和感があっても「納得いくまで突っ走る」ことも当然「あり」です。

ただし、「相性の悪い相手と「たまたま」うまくいったときの麻薬的な多幸感は、あったとしても長続きはしません。ゆくゆくは我慢できなくなります。

「なんで自分だけ?」と思ったら、カウントダウン開始ですよ。

 

 

5. 「愛されない」で「マイナスの感情・気分」をつくらない

 

上記で述べてきたように、「自分の魅力」を高めたり「長続きする関係」を築いたり、さらには「幸せ」になるためにも「プラスの感情・気分」が大切です。

 

そのためには、当然ながら、「マイナスの感情・気分」をつくらない(あるいは減らす)ことも不可欠です。

本記事の最後には、「愛されない」という思考によって、不要な「マイナスの感情・気分」をつくらないための対処法についてまとめます。

 

前提として、「愛されない」で「マイナスの感情・気分」をつくることが「妥当」な相手は、以下です。

  • 自分にとって「大切な人」
  • 自分の生死を左右するような人

*関連記事:学び【5】否定的な意見は防げない。「人の目」は「相手」と「場面」に応じて気にする

 

その理由は、そのような人に「愛されるかどうか」は、大きな「利害」につながるからです。

たとえ上記の人に「愛されない」場合にも、「マイナスの感情・気分」は最小限にとどめ、適切な「対処」へと移ることが大切です。とは言え、いったん「マイナスの感情・気分」をつくってしまうのは「無理もない」ことです。

 

にもかかわらず、以前の私は、それ以外の人からの「愛されない」で、本来不要な「マイナスの感情・気分」を頻繁につくっていました。

その原因は以下です。

  • 「自分の価値」を、「愛されている(と感じる)度合い」で決めている。言い換えると、「自分の価値」を、「他人の評価」で決めている

 

これが必ずしも妥当ではない「理由」と具体的な「対処法」について、ポイントを3点に絞り、大まかにご説明します。

 

①「愛されるかどうか」つまり「他人の評価」は、本質的に「気まぐれ」

「愛されるかどうか」言い換えると「時間・お金・感情の3つを使われるかどうか」は、まず「相性」に左右される。つまり「3分の1の法則」により、自分に対して時間・お金・感情を「よく使う人・まったく使わない人・どちらでもない人」に分かれる。そのような「バラついた」存在を基準に「自分の価値」を決める場合、たいていはそれらの「平均」ではなく、自分が採用したいと思う人「だけ」を考慮に入れる。たとえば「Aさんから3つを使われている=私には価値がある」または「Bさんから3つを使われていない=私には価値がない」など。これは必ずしも妥当な評価方法とは言えない。

加えて、「愛されるかどうか」言い換えると「3つを使われるかどうか」は、相手との「接点」や「機会」の有無、またはそもそも相手に時間的・経済的・精神的な「余力」があるかといった「タイミング」の影響も受ける。

以上は、自分が何をしても相手の反応や評価には「一切影響がない」といった話ではないが、努力「だけ」でコントロールできるものでもない。つまり「愛されるかどうか」や「他人の評価」は本質的に「気まぐれ」とも言えるので、「自分の価値」を正確に反映しているとは限らない。

 

②「気まぐれ」なうえに、「ない=絶対的にない」とは言えない

すべてを「認識」することも、完璧な「未来予測」もできない以上、「ない」という自分の「思考=事実」とは限らない。他人から評価されていたり、時間・お金・感情の3つを使われている(愛されている)ことに「気がついていない」、あるいは「機会」がないために「まだ」3つを使われていない、という場面も考えられる。

にもかかわらず、人には「判断をすぐに下したがる」そして「何らかの『対処』へと移りたがる」といった性質があるため、反射的に「愛されていない(3つを使われていない)」という「事実」と異なる「判断」を、早まってすることがある。一度「判断」をしてしまうと、「本当にそうか?」と考える余地が失われやすいうえ、それがひいては「中核信念」として固定化される恐れもある。

*関連記事:学び【3】「解釈を変える」2つのハードル。対抗策:①自問する ②クセづける

実際には、自分が「愛されている(3つを使われている)と感じる度合い」と、事実として「愛されている(3つを使われている)度合い」とは別物。このため、前者に基づいて「自分の価値」を決めることは必ずしも妥当ではない。

 

③「自分の価値」は、「公正な自己評価」で決める

以上のことから、「自分の価値」を「愛されているかどうか」、つまり「他人の評価」で決めることは必ずしも妥当ではないため、「公正な自己評価」というブレにくい軸を持つことが重要。

「公正な自己評価」も確実なものではなく、自分にとって「大切な人」や「利害関係のある人」の評価を場面により気にかけることは大切なものの、不要な「マイナスの感情・気分」を減らし、「プラスの感情・気分」を増やすためには、「公正な自己評価」を基本にするほうが建設的。

*関連記事:学び【6】「自信」をつける方法:最も妥当でブレにくい「公正な自己評価」を積み重ねる

 

上記をまとめます。

「愛されない」という思考で「マイナスの感情・気分」がつくられたとき、その思考が認知の歪み:『現実思考』でない考え」を含む場合、「マイナスの感情・気分」をつくることは妥当ではなく、むしろつくるだけ「大損」です。

「マイナスの感情・気分」はそれ自体が心身を消耗させるうえ、行動力やパフォーマンスの低下へとつながることで、さらなる「マイナスの感情・気分」をつくる「悪循環」ともなりかねません。

 

「愛されない(3つを使われない)」という思考でとっさに「マイナスの感情・気分」をつくってしまった際は、必要に応じて「現実思考」で置き換えていく。そうすることで、不要な「マイナスの感情・気分」を減らし、できるだけ「プラスの感情・気分」を増やす。

これが「幸せの極意」であり、かつ「自分の魅力」を高め、良好な関係を築くうえでも重要な「恋愛の極意」です。

 

 

関連する先生の動画:人への執着を手放す方法!


www.youtube.com

<動画のポイント>

  • うまくいく恋愛には、「相性の良さ」が不可欠
  • 「好き」の感情が先行した場合、感情が冷めるにつれて見逃していた短所(=相性の合わない点)が目につくようになり、関係が続かないことになりがち
  • このため、まず相手の価値観や考え方・性格を観察し、あまり違和感がない(=相性が合う)と確認してから「好き」になること(恋愛がうまくいく心理学的な方法)
  • 以上のことから、人への執着を手放す方法の1点目は、「相性が合っていなかったのだから、仕方がない」と考えること
  • 2点目は、人は無意識的に自分と同じレベルの人を選択しやすい性質(マッチング仮説)があることから、「自分を磨いて価値を引き上げていれば、おのずと素敵な人と出会える、大丈夫」と考えること。つまり「この人と別れてしまったら、いい人と出会えないのでは?」と自分の価値を低く見積もらないこと

 

 

共感する名言 / 本の一節

①精神科医Tomy『1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』

健全な関係性は、
「自分の心を満たし、
相手の心も満たせる関係性」
なのよ。
相手が喜んでいたら、自分も嬉しい。
自分が喜べば相手も嬉しい。
これが、相手を喜ばせるために自分が我慢する
ようになると不健全な関係になるわ。
放置しておくとお互い傷つくので、
初めのうちが肝心よ。
(p.66)

*「自分も相手も満たされる」関係かどうかを見極める。この場合は「相手」の利害も考慮に入れているうえ、自分をかえりみることにもつながるため、ネガティブな意味での「打算」や「損得勘定」とは似て非なるものだと思います。「マイナスの感情・気分」を増やして消耗しないため、そして「長続きする関係性」を築くためにも、お互いに「プラスの感情・気分」をつくれているかの「視点」が重要と感じました。

 

 

②アガサ・クリスティー『評決』

「表面に現れたものは、いわば目に華やかな花だ。だが愛は根だ。地底にあって、目には見えない、滅多にふりかえられることもない、しかしそこに生命の根源があるんだよ」

(p.343)(『ブラック・コーヒー』収録)

*アガサ・クリスティーの「戯曲」から。ともすれば陳腐に聞こえるようなセリフですが、同時に力強さも感じて印象に残りました。目には見えないからといって「ない」とは決めつけないこと。「滅多にふりかえられること」がないからこそ、大切な人には、言動で伝えたほうがいいこと。どこか謙虚な気持ちでそのように思えるため、「折に触れてかみしめたい」と感じた一節です。

 

 

③M.C.ビートン『アガサ・レーズンと禁断の惚れ薬』(他三作)

アガサにとって喜びというものは常にほろ苦かったし、長く続きっこないわ、といつも頭のどこかで感じていた。

(p.92)

愛を夢想するのをやめ、友情で手を打とうとする時期が人生にはあるにちがいない。

(p.170)

*「アガサ・レーズン」シリーズ9巻より。主人公の名前の「アガサ」はもちろん「アガサ・クリスティー」に由来しています。「謎解き」の要素は薄めですが、「意地が悪い」と言ってもいい(いっそ痛快な)キャラクター設定やストーリー、表紙のキュートなイラストなどが魅力で読み続けています。

「マイナスの感情・気分」をつくっているとき、ネガティブな言葉であっても(だからこそ)「わかる」と共感することで癒される、そうやってエネルギーを充電することでいつしか再び前向きになれる、といった場面もあると思います。シリーズのそこここに散りばめられた、ほろ苦いけれど「心に染みる」一節を最後に列記します。

 

この年になったら、早めにお墓に入ること以外に楽しみなんて何もないわ。

シリーズ4 『アガサ・レーズンと貴族館の死』(p.195)

 

ガーデニングにも興味を失い、地元の人間を雇って任せていた。掃除はミセス・シンプソンがやってくれる。何もかも代わりにやってもらっているのに、生きることは自分でやるしかない。残念だ。

シリーズ8 『アガサ・レーズンとカリスマ美容師』(p.86)

 

しかし、アガサには恋に執着する癖があった。頭の中に執着する対象がいないと、自分自身と向き合うことになる。それがつらいからだ。

シリーズ17 『アガサ・レーズンの復縁旅行』(p.16)

 

*「共感」の関連記事はこちら!

isseki-blog.com

 

 

今回は以上です。

読んでくださってありがとうございました!

 

 

<今日のISSEKI>

 

「恋愛の極意」は、「プラスの感情・気分」を増やすこと。

これは、同時に「幸せの極意」でもある。