シリーズ三作目の本書を読了しました。児童書なのでとても読みやすい。
ハードルの高い「古典」たちのサビとも言える部分を抜粋してくれているので、入門編にピッタリです。
最も印象に残ったのが『更級日記』。
平安中期、菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)が書いた日記文学であり、
作者13歳のおり、父の任地上総国(千葉県中央部)から帰京の旅に筆をおこし、
以後40余年に及ぶ半生を自伝的に回想したものです。
■念願叶って入手した『源氏物語』を一巻から読み耽っているときの幸福感
后の位も何にかはせむ
訳:后の位だって何になろうか(比べ物にならない)
■年頃になれば「物語の姫君たちのように」美しくなれると思っていた自分の心は
まづいとはかなくあさまし
訳:しっかりした考えもなく、あさはかなことだった
以下はむかし本編を読んだときのうろ覚えなのですが、他にも
■源氏の君(『源氏物語』の主人公)みたいな人は、現実にはいないのだ
■天のお導きかのような夢を見たのに、無精さから行動せずに終わってしまった
など。
思い描いていた夢と現実とのギャップ、家族に対する愛情とそれゆえの哀しみ、あきらめの気持ちじみたもの…など共感ポイントが随所にあって大好きです。
今日のISSEKI
共感は(するのもされるのも)救いになる。
「自分はひとりではない」と思える。